芸術を体感
思い出の絵葉書 (8)
善福寺川の堤に小さな男の子がいる。彼が抱きしめている少女は大理石のように
滑らかな、大きくて丸い石の上に座っている。軽やかな夏服を着て。ブロンズの像。目は半ば閉じ、口は微笑んでいるようにわずかに開き、頬はお日さまの愛撫へ、台座に刻まれた銘が示す「川の声」へと向けられている。
男の子は少女の首に抱きつき、悪戯っぽく何度も口にキスをしている。三人の女性─お母さんと、お姉さんと、おばあさんらしい人 ─が、そこからひっぱっていこうとする。でも、火に油を注ぐようなもの。男の子は少女にしがみつき、ますます激しくキスし続ける。
おばあさんは困ったように立ち尽くし、お姉さんは怒ったように遠ざかりながら背を向けている。お母さんは笑って息子を引き離そうとしている。芸術に巡りあったこの男を。
善福寺川の堤に小さな男の子がいる。彼が抱きしめている少女は大理石のように
滑らかな、大きくて丸い石の上に座っている。軽やかな夏服を着て。ブロンズの像。目は半ば閉じ、口は微笑んでいるようにわずかに開き、頬はお日さまの愛撫へ、台座に刻まれた銘が示す「川の声」へと向けられている。
男の子は少女の首に抱きつき、悪戯っぽく何度も口にキスをしている。三人の女性─お母さんと、お姉さんと、おばあさんらしい人 ─が、そこからひっぱっていこうとする。でも、火に油を注ぐようなもの。男の子は少女にしがみつき、ますます激しくキスし続ける。
おばあさんは困ったように立ち尽くし、お姉さんは怒ったように遠ざかりながら背を向けている。お母さんは笑って息子を引き離そうとしている。芸術に巡りあったこの男を。
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