思い出の絵葉書 (11)
十二月 人生の計画

僕はその校長先生のことをよく知っていた。父が教鞭をとり、いつか僕も通うことになる高校の校長先生のことだ。校長室の近くの広い廊下においてあったテレビの前に、男たち?先生たちと、その息子たち約三十人─が日曜日の午後、サッカーの試合があるたびに集まった。
今回はプールの脇でみな海水パンツ姿だ。機知あふれるこの校長先生と気楽に冗談を交わし、喋っている父を見ていると、僕は何だかうれしくなった。僕たちは屋外プールの側の白いコンクリートの上に立っていた。プールの真ん中から半分は四メートルの深さがあり、泳ぎの上手な、高飛び込みする人のためのものだった。勇気ある逞しい男たち。頭のてっぺんからつま先まで。校長先生はタバコに火をつけ、父は彼がまた喫煙し始めたことをからかうように言った。
「これは棺おけの釘だよね」と、校長先生はそのころ流行の言葉で認めはしたけど、実は彼は、ほんの数週間しか禁煙できなかったのだ。喫煙がそれほど体に悪いとも思っていないようだった。長生きする、そのつもりで人生を設計していた。
「西暦2000年の大晦日の晩にソーセージを食いながら死にたいね」
僕たちは笑った。その日は本当にくるのかな? これから四十年も先のことだ。僕のお祖父さんはきっとその日まで生きていられないな。こんな時代に生まれて、
僕はすごく運がいいと思った。次のミレニアムを一目見るチャンスに恵まれたのだから。
でも、それまでに、絶対に…… 四メートルの深さのプールで早く泳げるようにならなくちゃ。で、飛び込みは? いつか高い飛び板からジャンプできるようになるかなあ?

僕はその校長先生のことをよく知っていた。父が教鞭をとり、いつか僕も通うことになる高校の校長先生のことだ。校長室の近くの広い廊下においてあったテレビの前に、男たち?先生たちと、その息子たち約三十人─が日曜日の午後、サッカーの試合があるたびに集まった。
今回はプールの脇でみな海水パンツ姿だ。機知あふれるこの校長先生と気楽に冗談を交わし、喋っている父を見ていると、僕は何だかうれしくなった。僕たちは屋外プールの側の白いコンクリートの上に立っていた。プールの真ん中から半分は四メートルの深さがあり、泳ぎの上手な、高飛び込みする人のためのものだった。勇気ある逞しい男たち。頭のてっぺんからつま先まで。校長先生はタバコに火をつけ、父は彼がまた喫煙し始めたことをからかうように言った。
「これは棺おけの釘だよね」と、校長先生はそのころ流行の言葉で認めはしたけど、実は彼は、ほんの数週間しか禁煙できなかったのだ。喫煙がそれほど体に悪いとも思っていないようだった。長生きする、そのつもりで人生を設計していた。
「西暦2000年の大晦日の晩にソーセージを食いながら死にたいね」
僕たちは笑った。その日は本当にくるのかな? これから四十年も先のことだ。僕のお祖父さんはきっとその日まで生きていられないな。こんな時代に生まれて、
僕はすごく運がいいと思った。次のミレニアムを一目見るチャンスに恵まれたのだから。
でも、それまでに、絶対に…… 四メートルの深さのプールで早く泳げるようにならなくちゃ。で、飛び込みは? いつか高い飛び板からジャンプできるようになるかなあ?
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